2018/05/06

つばの広いとんがり帽子を被りギターを片手に陽気で情熱的な音楽を奏でる―――よくあるメキシコのイメージ像ですが、他に忘れてはいけないことといえば?そう、ショットグラスに入ったテキーラです。
San Francisco / taylorandayumi
メキシコのお酒の代名詞であるテキーラは、いまや日本でも手軽に買えて居酒屋でも見かけるお酒になりました。
そんなテキーラですが、詳しい飲み方やその歴史はまだまだ日本では広まっていないよう………今回はテキーラの魅力をご紹介したいと思います。
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テキーラってどんな原料のお酒?
まずテキーラの成り立ちから。
テキーラは元々メキシコが古代アステカ王国だった頃から受け継がれていた「プルケ」という伝統的なお酒が、スペイン人のコンキスタドール(征服者)によって蒸留酒にされた「メスカル」というお酒の一種です。
メスカルはリュウゼツランというアロエに似た植物から作られるお酒で、このリュウゼツランはメキシコ国内だけでも150~200種あると言われています。その中で特定の産地のリュウゼツランを原料に使い、決められた製法を用いてテキーラ村・あるいは周辺地域で作られたものを、村の名前から取られたテキーラと呼ぶことが出来ます。
テキーラの名が世界的に知られた頃「実際のメキシコではハリスコ州(テキーラ村のある州)以外ではあまりテキーラは飲まれない」と言われたこともありました。これは現地のメキシコ人にどちらかというとビールのほうが好まれていたこと、上記の通りテキーラはメスカルというお酒の一括りとしても見れることから生まれた話のようで、日本でいうところの日本酒や焼酎の扱いに近いのかもしれません。
ですがメキシコではウィスキーやブランデー等の洋酒は非常に高めの税金が掛けられていて、やはり安くて美味しい、馴染みのあるのはテキーラという人も多いのだとか。
本場メキシコの飲み方
1、ライム(レモン)を齧る
メキシコではテキーラを飲む前にライム(レモンでもOK)を齧っておきます。これはアルコール度数の高いテキーラからのどを守るためです。
2、ストレートのテキーラを飲み、塩を舐める
ライムを齧ったらショットグラスのテキーラをぐっと口にします。この時口内のライム果汁とシャッフルするようにして飲み込みます。
飲み込んだら、親指の付け根に塩を振っておきそれを舐めます。
上のライムと塩はセットで提供してくれる店も多く、三つで「テキーラセット」などとも日本では言われているようです。
3、サングリア(果実ジュースやスパイスと混ぜたワイン)と一緒に飲む
サングリアを口に含み、テキーラと一緒に飲みます。テキーラのアルコールの風味がとても和らいで飲みやすくなります。
4、炭酸水
「テキーラボンバー」と呼ばれる、パーティなどで若者がやる「飲ませ方」です。ショットグラスの1/4にテキーラ、残りに炭酸水を入れ、手のひらでグラスにフタをしたら底を膝で叩きます。そうするとグラスからどんどん泡が吹き出ますから、標的になった人は慌てて飲み干さないといけなくなる、というのものです。
カクテルも情熱的?テキーラのカクテル
ストレートの飲み方の次は、テキーラのカクテル。テキーラとカクテルには、切っても切り離せない二つのお話があります。
1、マルガリータ
テキーラを世界的に有名にさせたと言われているのがこのマルガリータです。ロサンゼルスのバーテンダー、ジャン・デュレッサーが1949年のUSAナショナル・カクテル・コンテストで3位に入選したことで脚光を浴びました。
知名度のあるカクテルだけに、このカクテルの誕生には様々な通説が存在しています。
・ジャン・デュレッサーが若い頃、狩猟場の流れ弾で亡くなった恋人「マルガリータ」を偲んで作った
・メキシコのホテルのバーテンダーが、どんなお酒も塩で舐めながら飲んでいるガールフレンド「マルガリータ」のために作った
・1920年代にヘンリー・マッデンというバーテンダーが、ウィスキーで作るカクテル「デイジー」を間違えてテキーラで作ってしまい、それが好評になって「デイジー(ヒナギクの花)」のメキシコ語「マルガリータ」となった
そんな謎多きマルガリータのカクテル言葉は「無言の愛」だそうです。
2、テキーラ・サンライズ
オレンジを朝焼けの空、グラスの底に沈んだグレナデン・シロップを太陽に見立ててこの名前がついたと言われているカクテルです。
元々はメキシコでもマイナーなカクテルだったのですが、1972年にイギリスの有名ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のボーカル、ミック・ジャガーがメキシコ公演でこのカクテルを大絶賛するほどドハマりし、メキシコ滞在中にかなりの量を飲んだことで知名度を大幅に上げました。
その後、メル・ギブソン主演映画のタイトルになったり、アメリカのロックバンド「イーグルス」の2枚目のアルバム「ならず者」にこのカクテルの名前の曲が収録されるなどし、更に世界的に名前が広がっていきました。