2018/05/06

以前私が執筆した「ワイン初心者必見!スペインのカヴァを和食で愉しめば、いつの間にやらワイン通!」で、「スペイン」のカヴァ(CAVA)をとり上げましたが、スペインワインを語るには、「カヴァ」だけでは「片手落ち」です。なので、「スペイン」を執筆しました!
ただひとことで「スペイン」といっても無茶苦茶広いです。ワイン業界かれこれ30年。スペインはバルセロナ(カタルーニャ地方)しか訪れたことがありませんが、昨今は便利なもんで、SNS投稿画像で現地情報を垣間見ることが出来ます。最近の情報を付け加えながら述べることにしました。
スペインワインを把握(覚える)するには、現地に行って触れて味わうのが一番ですが、そう簡単に行けませんので、画面でのバーチャルスペイントリップ(旅行)をして一緒に見て覚えていきましょう!
まずはスペインという国はどんな国なのか、スペイン・バーチャルトリップの始まりです!
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スペインワインの勉強なら、まずはスペインの国について
日本との時差は-8時間、ヨーロッパ半島の南西に突き出したイベリア半島に位置します。スペイン語で、「エスパーニャ」、「レイノ・デ・エスパーニャ」、「エスタード・エスパニョール」などと言われています。英語のSpain表記から、日本ではスペインとしています。
太陽と情熱の国
フラメンコ
太陽と情熱の国、フラメンコ、闘牛、世界遺産の建築、芸術・・・・スペインの懐の深さはすごいものがあります。実際観光収入が10%を超えるそうです。観光主要都市は、マドリード、バルセロナ、クエンカ、コルドバ、グラナダ、セビーリャ、マラガ、パルマ、トレド、バレンシア、パンプローナ・・・
一日に5回食事をします
5回とは、①デサジュノ:朝の起き抜けに摂るパンなど。②メリエンダ・メディア・マニャーナ :午前11時頃のサンドイッチ、タパスなど。③アルムエルソ:昼食が一日のメインの食事です。午後2時前後にフルコースを食べます。④メリエンダ:夕方~午後6時頃、タパス、や軽食を食べます。⑤セナ:夕食です。午後9時頃、スープ、サラダなどを食べます。
ラテン系が多数を占めるのですが、私が訪れた、カタルーニャ人は、スペイン人という自覚は無いのでした。独立・民族意識がある住民が多く、実際あまり「ラテン系」のイメージを受けませんでした。
17の自治州、50の県、311もの自治体があり、それぞれの地方で大なり小なり独立運動が起きています。それぞれの地方で、風俗、文化、習慣が大きく異なっているのが特徴です。
ワインの産地:8つの地方
スペインワインを語るにあたり、分けて語る必要がありますので、下記8地方に分けてお話を進めていきます。
①リオハ地方、②カタルーニャ地方、③バスク地方・ナバーラ地方、④ガリシア地方・アストゥリアス地方・カンタブリア地方、⑤カスティーリャ・イ・レオン地方、⑥カスティーリャ=ラ・マンチャ地方、⑦アンダルシア地方、⑧カナリア諸島・バレアレス諸島
①リオハ地方
スペインで最も格付けの高いワインが産出されます。「リオハの赤ワイン」といったら世界中が認めるステイタスワインです。
西岸海洋性気候と地中海性気候が交じり合う地域で、降水量の多い穏やかな気候です。
全体の75%が赤ワイン、品種はテンプラニーリョ種が80%、長期樽熟成させる製法が伝統的に続けられていますが、最近は短期熟成の、フレッシュさを活かしたワインも出てきています。
なのです。フランスのボルドーの醸造家がここにきて醸造技術を伝えており、「第二のボルドー」とも呼ばれているのです。「リオハ・ワインとブドウ畑の文化的景観」として、世界遺産(ユネスコ)候補地にあがっています。
さあ、リオハ州「ログローニョ」にトリップ!
「クネ リオハ クリアンサ」
リオハの名門ワイナリー「クネ」のスタンダードワイン。赤いベリーの香りと樽熟成由来のオークやバルサミコ酢の香り。口当たりはエレガントで、かつ若々しいスパイスの香りとバランスの良い酸味を伴います。
ブドウ品種:テンプラニーリョ、ガルナッチャ、マスエロ
②カタルーニャ地方
スペインで訪れた唯一のカタルーニャ地方で、バルセロナが州都です。サグラダファミリア大聖堂であまりにも有名な観光地であり、私が以前執筆したカヴァの産地です。スペイン全土のカヴァの95%がここカタルーニャで造られています。我々含めた外国人が最も訪れる観光地でもあるのです。日本でのカヴァで圧倒的なシェアを誇る「フレシネ社」がここにあります。
「フレシネ・コルドンネグロ」
瓶内二次発酵のカヴァの代表格。フレシネは日本のスーパーでも必ずと言っていいほど売られており、世界的に見てもスパークリングワインで一番売れているブランドワインなのです。柑橘系の香りとキリッとした酸味の爽やかな口当たりの辛口のスパークリングワインです。
カヴァの工場へトリップ!
また、粘土質の急斜面の畑が多く、伝統的品種に外来品種をブレンドした赤ワインも人気で、スペイン最大手のワイナリー「ミゲル・トーレス社」もここにあります。
特選原産地呼称(DOCa)認定地域「プリオラート」も有名です。その他原産地呼称(DO)認定地域が10か所もあります。リオハに次いでスペインで2番目にDOCaに認定されています。
③バスク地方・ナバーラ地方
バスク地方
大西洋のビスケー湾に面し、降水量の多い地域です。バスク地方の「チャコリ」という微発泡性の白ワインが有名。アルコール度数が低く酸味が強い。ブドウ品種:白ワインはオンダラビ・スリ種、赤ワインはオンダラビ・ベルツァ種、いずれもバスク地方の固有種です。
バスク地方へトリップします!
「チャコリ・レサバル・アリ」
バスク地方の海に面した畑で育つオンダラビ・スリ種のフレッシュさ、果実味、繊細な泡を備えたワインです。アリとは、ミネラル感たっぷりな産地区画名です。
ナバーラ地方
リオハに隣接しており、大陸性気候で、適度な降水量と湿度を持ちます。スペイン国内ではリオハの廉価版といわれています。総生産量に占める赤ワインの割合が70%、ロゼワインの割合が25%です。
ナバーラ地方のワイナリー、ボデガス・アロア社のプロモーションビデオです。
ナバーラ地方へトリップ!
「サンティアゴ・ラバリ・エレ・フォンブレ・マグニフィコDOナバーラ」
濃縮した高品質のガルナッチャの旨味。少し濃いルビー色で、アニスやバラの香り。爽やかな酸でなめらかなタンニン。ブドウ品種:ガルナッチャ100%
④ガリシア地方・アストゥリアス地方・カンタブリア地方
ガリシア地方
ポルトガルと接していて、南側のミーニョ地方はポルトガル有数の白ワイン・ロゼワインの生産地域です。酸味の強い白ワインを多く生産しています。
リアス・バイシャス (DO)は、スペイン有数の白ワイン生産地域。ブドウ品種の9割がアルバリーニョ種であり、果実味と心地よい酸味が称賛されている。リベイロ (DO)なども名醸地として知られています。
ガリシアへトリップ!
アストゥリアス地方・カンタブリア地方
この2つの地方で1857年に2,225ヘクタールあったブドウ畑が、2009年には130ヘクタールと減っており、DO産地も1つだけ。特にアストゥリアス地方ではワインよりもシードラ(リンゴ酒)が有名です。
アストゥリアス地方名物シードルのパフォーマンスご覧ください。
「シードラ・アバロン・トラバンコ」
リンゴ酒です。日本だと「ニッカ・シードル」ですね。輝く金色と透き通った黄色を併せ持つ色合い。青リンゴのような爽やかな香りの中にウッディーな香りがうかがえます。持続性の高い泡を持ち、セミドライからセミスィートな甘さと酸味のバランスが素晴らしい味わいです。
⑤カスティーリャ・イ・レオン地方
この地域の中心を流れるドゥエロ川流域はワインの銘醸地なのです。下流に行けばもうそこはポルトガル。言わずと知れたポート・ワインで有名なポルトにたどり着きます。
リベラ・デル・ドゥエロではテンプラリーニョ種を使用した赤ワインが有名です。チャールズ皇太子とダイアナの結婚祝賀パーティで使用されたことで知られます。
カスティーリャ・イ・レオンへトリップ!
ラ・マンチャ (DO):特徴:DO認定面積がスペイン最大(186,942ヘクタール)で、総生産量の2/3が赤ワイン。かつては安価な白ワイン(アイレン種主体)が多かったのです。
さあ!ラマンチャへトリップ!
「ボデガス・ヴェンタ・モラレス」
DO La Manchaの中でも最良のテロワールにあります。
非常に乾燥した土壌、気温の寒暖の差が、高品質のワインを生み出すのです。
収穫はすべて手摘み、この最高のテロワールをテンプラニーリョで最大限に表現する事を目指しています。
⑦アンダルシア地方
シェリー
アンダルシア地方西南部のヘレス・デ・ラ・フロンテーラ周辺では、パロミノ種を中心とする白ブドウから酒精強化ワインのシェリーを生産しています。シェリーの製法等は別のコラムで紹介しようと思います。
「ティオペペ」
ドライシェリーの代名詞的ブランドで、食前酒です。薄い黄金色に輝く優雅な色合い、独特の香り、辛口の味わいは、魚介類の料理によく合います。
⑧カナリア諸島・バレアレス諸島
カナリア諸島
アフリカ大陸沖合の大西洋上にあるカナリア諸島は、かつてスペイン有数の甘口ワインの産地として知られていました。カナリア諸島は地理的に孤立しており、19世紀末にヨーロッパ各地を襲ったフィロキセラの災禍を受けなかった地域のひとつである。現在では原産地呼称の認定に熱心であり、主要7島のうちの6島にDO認定地域があります。辛口の白ワインが注目を集めています。固有品種のブドウから希少価値のあるワインが造りだされています。
「エル・エスキロン」
カナリア諸島、テネリフェ島のワイン。島固有の品種リスタン・ネグロを70%使用。ベリー系の果実香と溶岩由来のミネラルのバランス。天然酵母醗酵。海抜500m、火山帯の石の多い土壌。平均樹齢100年のぶどうは、山の斜面を利用し「コルゴン・トレンサード(長くなったぶどうの枝を編みこんで空中を伝わせる)」と呼ばれる島独特の栽培方法をとっています。。
バレアレス諸島
マリョルカ島東部のプラ・イ・リェバン、中央部のビニサレムの2地域がDOに認定されています。ブドウ品種はマント・ネグロ種、カレット種です。赤ワインが生産されています。
さあ、この旅の最終目的地、スペインの島々へ。最終トリップ!
スペインワイン勉強法 バーチャルトリップして楽しく覚える!まとめです
スペイン
太陽と情熱の国・フラメンコ、一日に5回食事をします
スペインワイン
広大な国なので、8つの地方に分けてみる必要があります。それぞれの地方にトリップしましょう!
①リオハ地方
スペインで最も格付けの高いワインが産出されます。
②カタルーニャ地方
スペイン全土のカヴァの95%が造られています。特選原産地呼称(DOCa)認定地域「プリオラート」も有名です。その他原産地呼称(DO)認定地域が10か所もあります。リオハに次いでスペインで2番目にDOCaに認定されています。
③バスク地方・ナバーラ地方
バスク地方の「チャコリ」という微発泡性の白ワインが有名。
ナバーラ地方はリオハに隣接しており、スペイン国内ではリオハの廉価版といわれています。
④ガリシア地方・アストゥリアス地方・カンタブリア地方
ガリシア地方:ポルトガルと接していて、ポルトガル有数の白ワイン・ロゼワインの生産地域です。リアス・バイシャス (DO)は、スペイン有数の白ワイン生産地域。リベイロ (DO)なども名醸地として知られています。
アストゥリアス地方・カンタブリア地方:この2つの地方で、DO産地は1つだけ。アストゥリアス地方ではワインよりもシードラ(リンゴ酒)が有名です。
⑤カスティーリャ・イ・レオン地方
この地域の中心を流れるドゥエロ川流域はワインの銘醸地です。リベラ・デル・ドゥエロ (DO)は、テンプラリーニョ種を100%使用した赤ワインで有名。
⑥カスティーリャ=ラ・マンチャ地方
ラ・マンチャ (DO):特徴:DO認定面積がスペイン最大(186,942ヘクタール)で、総生産量の2/3が赤ワイン。
⑦アンダルシア地方
スペイン南部、地中海性気候であり降水量が少なく、夏場の酷暑が有名です。マラガワイン、シェリーの産地です。
⑧カナリア諸島・バレアレス諸島
島独特の栽培方法にて、固有品種のブドウから希少価値のあるワインが造りだされています。

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by シェリー酒とは? | 世界のお酒BAR 2018年4月8日 9:55 AM