オーガニックワインは、原則として、化学肥料、農薬、除草剤を使わないまま3年以上経った畑で、遺伝子操作や放射線処理が禁止された有機農法によって生産され、公的機関の承認を得たブドウを用いて造られます。3年未満のものは、オーガニック転換中(in conversion)と呼ばれます。
★欧州では、オーガニックワイン=ビオロジック製法のワイン、ビオワイン(バイオダイナミックワイン)=ビオディナミ製法のワイン、としています。
ナチュラル(自然派)ワインとは (仏:Vin Naturel、英:Natural Wine)

一般的に、 「限りなく自然に造った(人為的操作をしていない)ワイン、化学肥料や化学薬品を使っていないワイン」 が自然派ワインと呼ばれています。しかしながら、化学肥料や化学薬品の不使用・無添加がナチュラルワインの目的ではありません。
ブドウの栽培が有機であること(ビオロジックやビオディナミ農法)、自然酵母での発酵、二酸化硫黄(酸化防止やバクテリアの活動の抑制が主な働き)を極力使わない、補糖・補酸をしない等々、それらは単に目的のための手段にすぎません。なんのための手段かといえば、それは 農作物としてのワイン、ブドウ本来の美味しさが感じられる味わい豊かなワインを造る、テロワール(風土)や生産者の人となりが感じられるような、個性あふれるワインを造る、 そういった目的のための手段です。
ワインが大量生産される現場では、
・作業効率や収益のために畑で大量の化学肥料が使われる
・土を踏み固めてしまう大型機械が導入されている
・醸造所では狙い通りの香りや味わいのワインを造り出すため、発酵のコントロールがしやすい培養酵母を投入
・ブドウの出来がすぐれなくても補糖や補酸でカバーする
・品質安定のためにしっかりろ過をし、フィルターをかける
このようなことが行われています。
こうして出来たワインは低価格で安心安全なものですが、代わりにワインの大きな楽しみである多様性、オリジナリティー、ヴィンテージのキャラクターなどは失われてしまいます。
自然派といわれる小さなドメーヌや農家では、自分や家族で世話ができるくらいの規模の畑で、土作りからブドウ栽培まで行っています。手塩にかけたブドウはとてもキレイで美味しいモノです。
リュット・レゾネとは? (仏:Vin lutte raisonnée)

リュット・レゾネ農法(減農薬有機農法)
地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについて土壌の状況を判断して、必要な時だけに化学肥料や農薬などを使用する事から減農薬農法、または対処農法とも呼ばれています。
ビオロジックワインとは? (仏:Vin biologique)

ビオロジック農法(無農薬有機農法)
化学肥料や除草剤、殺虫剤を使用せず、自然を尊重したオーガニック(有機的な)農法のことです。
病害虫の予防のため、硫黄や銅など(ボルドー液)の使用が認められています。
ビオディナミワインとは? (仏:Vin biodynamique)

ビオディナミ農法(無農薬有機+α農法:生力学農法)
オーストリアの哲学者、ルドルフ・シュタイナーの思想をもとに体系化された農法のことで、ビオロジック農法同様、化学的なものは一切使用せず、生物の潜在的な力を引出し、土壌に活力を与え、作物を育てる農法です。
さらに、宇宙エネルギーや地球の磁力を利用するため、月の運行に合わせて作業を行ったり、プレパラシオンと呼ばれる動植物、鉱物由来の特別な調剤を用いたりします。
※ヨーロッパなどではエコセールやデメテールといった有機農産物の認証機関も多数あります。
ただし、厳しい基準をクリアした生産者 だけに与えられるため、一つの目安にはなりますが、あえて取得しない生産者も少なくありません。
プレパラシオン
主な調合剤(プレパラシオン)をあげてみます。
【雌牛の糞】雌牛の角に糞を詰めて土の中に埋めて作り、雨水で希釈して散布します(目的:根の強化)
【水晶の粉】砕いて雌の牛角に詰めて6カ月土中に埋めて希釈して散布します(目的:葉に光を集める)
【西洋ノコギリソウの花】アカシカの膀胱に詰めて一冬寝かして、夏に撒きます(目的:硫黄の供給)
【タンポポの花】牛の腹膜に詰めて一冬越したもの(目的:珪酸の供給)
エコセール
Fair use, Link
1991年に創立されたフランス農務省認証期間であるエコセール(ECOCERT)が、有機栽培食品とバイオデナミー(ビオデナミ)栽培に関して検査・認証をおこなっています。認知度が高く、事実上の世界標準となっています。
デメテール

デメテールまたはデメターと呼ばれます。ルドルフ・シュタイナーの提唱するビオディナミの実践を推進している団体Demeter Internationalによるもので、栽培だけでなく醸造方法にも細かな規定があり、唯一醸造段階でもその方法が問われる認証となっています。